ミーシャちゃん。
今から約1年前のことです。
交通事故で瀕死の状態の小さな小さな黒猫が、保護されました。
元々、頭部から首にかけて「疥癬」という非常に治りにくい感染度の高い皮膚病を患っていて、更に空腹からか皮膚病のせいか、極度の貧血に陥っていました。
そんな状態で更に交通事故に遭ってしまったのです。
事故で腸が横隔膜から出てしまい、腰から足にかけて三か所の骨折がありました。
動けなくなっているこの子の周りに人だかりができている中、私の知人が抱きかかえて病院に連れて行きました。当然そのまま入院になりました。
けれど、貧血が酷く、肝臓の数値も最悪でいつ亡くなってもおかしくない状態。
とてもとても手術することはできません。
病院の先生は一晩も持たないだろうと思っていたそうです。
しかし、動物の生きる力と先生達のご尽力により、この子は奇跡的に助かりました。
知人はあまりに小さいので子猫かと思ったそうですが、病院でおそらく年老いていて10歳は超えているだろうということでした。
後にこのエリアでTNRをしているボランティアさんがこの子を手術したことを覚えていて、
2006年生まれの16歳と分かりました。なんという記憶力の良さ!クルクル回ってる尻尾まで覚えていました(笑)
知人から「もし助かってもちゃんとお世話できるかわからない。できれば老猫ホームであるうめねこに託したい」と相談されました。
うめねこは寄付で成り立っている施設ではありません。
飼えなくなった老猫達を飼い主さんに変わってお世話をすることで対価を貰うシステムです。
知人にはその旨を話し、「飼い主ではないけれど、保護主として飼養料を支払って貰えれば最後まで責任もってお世話します」と言うと、知人は快く「では家族みんなでお金を出し合うのでお願いしたい」と、この子を託されました。
名前は「ミーシャ」にしました。
冒頭の画像は、退院時のミーシャです。約20日間入院していてこれですから、保護された時はどんなに酷い状況だったのでしょう。よく生きていました。
疥癬が他の猫達に移らないように、うめねこのエントランスにケージを設置してシーツで覆い、定期的に周囲にフロントスプレーやクレベリンなどをまき、お世話する側も専用のエプロンや手袋を使って対応しました。当時はベッドの中でそのままおしっこしてしまっていたので、一日に4~5回の掃除や投薬などをチェックリストを作って管理しました。
「疥癬」はとってもかゆい皮膚病です。顔を掻きむしってしまうので、エリザベスカラーは完治するまで2か月近く付けたままだったと思います。
よく頑張った。我慢強い子だなって思いました。
否、人間に比べたら動物はみんな我慢強いのでしょう。
やっとカラーが外れて、お顔にも毛がちゃんと生えてきました。
ミーシャはそんなに人慣れしていないですが、とても静かで大人しい子。
小さくて愛くるしい老猫ちゃんです。
やっとエントランスから老猫ホームへ移動できました。
ただ、事故時に極度の貧血と肝臓の数値が非常に悪かった為、横隔膜ヘルニアと3か所の骨折はそのままです。
横隔膜ヘルニアに関しては体力が戻れば手術可能か相談しましたが、高齢であること、ヘルニア部分があまり大きくないことから経過観察となりました。
骨折に関しては、猫は強いですね。
今は普通に歩けるし、低い所ならジャンプできています。
ミーシャは横隔膜ヘルニアの為に、いくつかの制限がありました。
消化器系のドライフード(可溶性)以外はあまり食べさせてはいけない。
体重は2.6㎏を維持。
太らせない。
中でも一番上の食事制限は、多頭飼いのうめねこにとっては厳しいです。
それで、しばらく老猫ホームでもケージ生活にしていましたが、ストレスから毛をちぎってしまうことがわかり、思い切ってフリーにしました。
上の画像は、フリーになった途端に幸村くん(ゆき)にピトッって、くっつきにいったミーシャです。
ミーシャは他の猫達と一緒にいたかったのです。
気が付かなくてごめんね。
ゆきは、この時すでに「鼻腔内リンパ腫」に侵されていました。
だからミーシャと一緒にいた時間はあまり多くはありません。
けれど、ミーシャはゆきが大好きで、いつも一緒のベッドで寝たがりました。
まるで親子の用な二匹です。
これはゆきのお兄さんの信幸くん(のぶ)と2ショット。
二匹で仲良くごはん待ちです。
なぜかさくらちゃんに寝床を奪われてしまう(笑)
でも、横でジッと待ってるんです。
毎日決まった場所で寝る子もいますが、ミーシャはとにかく自由です。
勝手気ままに、色々な場所で寝ます。
ご飯もよく食べますが、消化器系ドライはあまり食べてくれません(泣)
横隔膜ヘルニアなので、食事には一番気を使います。
好きなウェットを少しでも多めに食べさせると嘔吐してしまうので、少量にして回数を増やしたり、消化器系ウェットを混ぜてみたり。
嘔吐や下痢もたまにあるし、太るどころか体重がなかなか増えてくれないのが悩みですが、ご飯を欲しがる元気があることが嬉しいです。
せっかく助かった命。一日でも長く幸せな老後を送って欲しいです。
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