ゆきについて、なかなか心の整理がつかず記事を書けないでいました。
向き合っていなかったわけでもなく、ゆきはずっと心の中にいました。
『ごめんね。もっと長生きさせてあげられなくて』
それしかかける言葉が無い自分の無力さと向き合ってきたのかもしれません。
ゆきは昨年の12月にうめねこにやってきました。
本名は幸村くん、そしてお兄ちゃんが信幸くん。兄弟2匹一緒でした。
もう1匹、ゆきとのぶを産んだお母さんでチビクロちゃんという黒猫がいたそうですが、うめねこに来る前に腎臓病で亡くなりました。
ゆきとのぶはいつも一緒にいて、お互いを舐めあったり、ちょっと激しくじゃれ合ったりして毎日を過ごしていました。人間や他の猫と少し距離を置くのぶとは違い、ゆきは人間大好きで他の猫にも積極的に仲良くなろうと近づいていく子でした。
「シャー」と怒られることもしばしばありましたが、ゆきは全然気にしません。それに何か危害を加えるわけでもないので、そのうち他の猫も「傍にいたいならいてもいいよ」という態度に変わっていきました。
最初は近寄られるのを嫌がっていたつる。
一緒に寝るようになりました。
それは人間に対しても全く同じでした。どんな人にも寄っていって、撫でてもらうのが好きでした。
もっともっと撫でてあげれば良かった。
ゆきが亡くなる1週間前ぐらいから、そのことをすごく後悔して一生懸命撫でました。
それでもゆきの一生分にはほど遠かったです。
もっともっとたくさんの愛情を注いであげれば良かった。今でもずっと思っています。
ゆきとのぶが14歳になった誕生日を記念に撮影しました。
二匹ともベロを出しているところを激写!
ゆきとのぶは、よく食べてよく寝てうめねこで一番健康な兄弟でした。
だから一番手がかからなかった。
そんなゆきがある日、くしゃみをしました。
くしゅんくしゅんと何回も。
鼻水も少しでました。
あれ?猫風邪かな。
最初はそう思っていました。
体重も減るどころかむしろ増えているし、体も大きく先日の血液検査ではどこも異常がなかった全くの健康体に見えました。
末期癌だったつるを心配するゆき。
しかし、ゆきのくしゃみはなかなか止まりません。
病院に連れて行って飲み薬か注射をしてもらおう、そう思っていた矢先に鼻から微量の出血がありました。
焦った私は、出血した画像を撮ってすぐ病院に行きました。
くしゃみが続くと、鼻の中が切れて鼻血が出ることはよくあるとネットにも書かれていました。
目や鼻を見ても全く異常が無いゆきを診察して、この時点で
「鼻腔内リンパ腫の可能性があるからCTを撮った方が良い」
と診断を下せる獣医師はおそらくいないと思います。目に見えてどこかが膨らんでくる、または変形してくるような症状が出ていないのであれば、動物の場合のガンの診断はとても難しいと思います。
まずは鼻水の原因となっているウィルスを採取して検査してもらい、抗菌剤を処方されました。
何種類かの抗菌剤を投薬してやはり症状が治まらない。
この時点で、鼻腔内に何か腫瘍ができているかもしれないとなり、CTや内視鏡の検査を行うことになりました。
ゆきのことが大好きだったミーシャ。
ミーシャがうめねこに来て、最初に仲良くなったのが、ゆきでした。
ゆきが調子が悪い時、一晩中くっついていたことがあります。
結果は「鼻腔内リンパ腫」。
自分の無知さや想像力の無さ、対応の悪さが情けなく、涙が止まりませんでした。
鼻腔内リンパ腫は抗がん剤治療で6割程度寛解すると言われていますが、それは平均値であって、年齢や進行具合ごとの寛解率などは出ていません。
しかもゆきの場合、腫瘍が表から確認できない、つまり脳の方に広がっていました。検査の結果、余命1~2か月、抗がん剤治療が効けば、2~3カ月延びるだろうとのことでした。
ゆきを預けてくれた飼い主さんのご家族にとってみれば、諦めきれません。
少しでも長く生きて欲しいと強い要望があり、抗がん剤治療を行うことになりました。
「抗がん剤は高齢猫にとても負担になる」
獣医師も私達も同様に感じていました。また、抗がん剤治療を始める前週ぐらいから、てんかんを起こすようになっていました。こういう状況での一度目の抗がん剤治療。ただでさえ一番強い抗がん剤なのに、ゆきがどうなってしまうのかとても心配で神経が磨り減る思いでした。
抗がん剤治療の帰宅後、普通にご飯をパクパク食べるゆき。
しかし、皆の心配をよそに、抗がん剤治療後のゆきはケロっとしているように見えました。そして帰宅してからのゆきの生活と来たら、全く以前と変わりないのです。一緒に服用していたステロイドの影響もありますが、普通にご飯もバクバク食べるし、トレイもしっかりして、ぐっすり眠ります。
ただ、てんかんは突発的に何度も起こりました。
悪性リンパ腫が脳の方まで進行して起こっているものなのか、抗がん剤治療でガン細胞を殺した後に体内に残る大量の細胞の死骸(?)が悪影響を及ぼしているのか、てんかんの原因ははっきりしませんでした。
毎日8時間おきの抗てんかん剤の服用は必須で、それでもてんかんが起きてしまったら坐薬を入れます。ゆきを24時間見守る生活をしながら、私達は毎週の抗がん剤治療と知人から勧められたサプリメントに僅かな望みを託していました。
抗がん剤治療中のゆき。
少しずつ、目と鼻の間が腫れて来ています。
抗がん剤治療は週1回10週間が1クールで、半年間続ける予定でした。
5回目の抗がん剤治療が終わった時、血液検査や鼻水の量の多さ、そして両目の腫れの進行などから
「治療の成果が見られない」
と診断されました。
もうこれ以上やっても意味がない。
この時点で治療は中止にしました。
後は、数種類の薬とてんかん薬を飲んで自然にまかせるしかない。
ゆきの症状はどんどん悪化していき、腫瘍で片目が腫れあがり、大量の鼻水が気道を塞いでいきます。おそらく2週間以上、満足な睡眠をとることができていなかったと思います。睡魔に負けて寝落ちするゆきの鼻から流れ出る鼻水を、起こさないように取ろうと必死でした。
飲み込む作業ができないので、薬を飲ませることも辛かったです。
結局、何も満足なことができず、ゆきの容態は急変しそのまま亡くなりました。
抗がん剤治療に関しては賛否あると思います。
けれど、私は抗がん剤治療がゆきの命を縮めたとは思っていません。
ゆきには最初から抗がん剤が効かなかったから、副作用もほとんど見受けられませんでした。
やってもやらなくても、結果は同じだったのではないかと思います。
ゆきは人も猫も大好きで、怒ったりしたことが無い子でした。
いつでも撫でさせてくれたし、重たかったけど抱っこされるのも好きでした。
今頃、ゆっくり寝たいだけ寝ているかな。
私はいつでもあなたのことを思い出します。
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