つるは毎日闘っていました。
一日に何度か水を飲み、動かない後ろ足を引きずりながら、それでもトイレできちんと用を足します。
何度か寝る位置を変えて、お腹を下にしてゆっくり呼吸しながらジッとしています。
私は便が垂れ流しになってしまって以来、毎日少しずつお尻を掃除してあげることにしました。
一度にやると痛がるので、毎日少しずつそっと拭いてあげます。
そのお世話が私にとっては唯一してあげられることで、変な言い方ですが楽しい時間でした。
しかし、最近お尻から鮮血が出ていることがよくありました。
どこから出ているのだろう?
自壊してしまった腫瘍からか、肛門からか、ボコボコになってしまったお尻のどこからなのか見た目ではわかりませんでした。
5月も終わろうとしているある日。
お尻を拭いてあげていた時、腫瘍が縮んだからか、今まで動かせなかった尻尾を少し持ち上げることが出来ました。やっとそこが拭けると思った瞬間、目に飛び込んで来たのはどす黒い大きな穴でした。つるの肛門は、最初のがん摘出手術の際に横にずらしてもらっています。そこには肛門はないはずなのに、この穴はいったい…。そこから鮮血が流れ出ていることが容易にわかりました。
自壊した腫瘍の奥でくさった細胞が体に穴を開けてしまっていたのか、この痛みに耐えていたことに気づいてあげられなかったことがショックでした。
「もうこれ以上苦しむ必要はない」
そう思いました。
病院に電話して、予約しました。
つるの様子を見に行くと、珍しくペットシーツの上に大量のおしっこがありました。
もうそんなに歩けないのかもしれない。
つるを撫でると、私を見上げてたった一度だけ鳴きました。
その表情は今も忘れることができません。
私にはそれが「つらい」と聞こえました。
ずっと孤独に頑張って来たつるが、やっと私に話してくれました。
『あともう少しだけ頑張って欲しい』
たくさん撫でて、話しかけて、最後の時間を過ごしました。
病院では、つるを何度も助けてくれた先生と看護師さんが迎えてくれました。
薬の量を正確に量って準備してくれました。
「最後、抱っこしたままでもいいですよ」
と言われましたが、つるはお尻を触ると痛がるので、診察台の上でつるに顔をくっつけてその時を待ちました。最期はやっぱり抱っこしたかった。それだけが心残りです。
苦しまず、眠るように、つるは旅立ちました。
先生から「もしもの為ですが、口とお尻に綿を詰めておきますか?」と言われ、お願いしました。
待合室で待っていると、先生が出てきて
「お尻の出血が酷くて。ちょっとでも触ると血が出てきてしまって、綿が詰められません。可哀想なので止めておきますね。」
そう言われて初めて、つるのお腹に溜まっていたのは、腹水なんかじゃなく大量の血だったのかもしれないと思いました。
どれだけ辛かったのだろう。
どれだけ頑張ったのだろう。
あぁ、これでやっと楽になったかな。
つるの最期について、尊厳死か安楽死か何度も何度も悩みました。
人間と違って、動物は安楽死が選択できる分とても悩みます。
つるが大好きだったから、尊厳死であろうと安楽死であろうと、どちらを選択してもきっと後悔すると思っていました。
最期は尊厳死を選択することが理想だと思います。
しかし、私は最期のつるの状態を見て安楽死を選択しました。
つると一緒に病院を出て、行くところは決めていました。
つるを保護した公園です。
夜風が気持ち良くて、つるもきっと懐かしんだろうと思っています。
もうたくさん泣いたので、つると笑顔で昔のことを話していました。
2022/6/10追記
つるのお尻にあったどす黒い穴をよく思い出していました。
あの穴は、つるの精神力に負けて体が悲鳴をあげてできた穴なのだなと今は思っています。
私の勝手な解釈かもしれませんが…。
イケにゃんショット。
みっちり
日向ぼっこ中のつる
植物と一緒に
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ぴこ (金曜日, 03 6月 2022 15:07)
初めまして。通りすがりの者ですが、コメントさせていただきます。うちの次女猫のこむぎが4月に扁平上皮癌と診断され闘病しています。ご存じかと思いますが、この病気は進行が早く、悪化のスピードも速く、最悪3か月で亡くなる場合もあるそうです。こむぎの場合、舌の下にできていて、私も色々調べて、先生からも説明がありましたが、例え手術をしても、かなりの確率で再発してしまう、それだったらいわゆる緩和ケアをしていきましょう、毎日点滴をして、流動食をあげていきましょうという事になって、毎日介護をしています。
こむぎは日々少しずつ悪化していて、体重も半減しましたし、元々自己免疫疾患と関節痛を患っていましたが、ガンからきているのか、どちらも症状が悪化しています。毎日泣いてばかりで、精神的に辛く、先日も先生の前で号泣してしまいました。先生からは思いつめないで、もう少し気持ちを楽にしましょうと言われました。そして、こむぎの状態がこれ以上はもう何をしてもダメという時は言います、その時は安楽死も含めて考えていきましょうと言われました。
耐え難い痛みがあって、ただ生きているだけで、こむぎにとってただ辛い状況なら、主人とも話し合いましたが、その時は安楽死を選択しようと思います。今もそうですが、こむぎは十分闘病を頑張っていますし、最期まで痛みや苦しみを与えたくないと思っています。もちろん安楽死を決める時は本当に辛いと思いますし、きっと一生自分を責めてしまうと思いますが。
つるちゃんを保護した公園に行かれたのですね。もし私がこむぎと行くとしたら、病院が開院する前にいつも時間を潰している病院近くの公園です。長女猫と三女猫はうちの前の公園で保護したので、きっとうちの前の公園に行くと思います。
つるちゃん、よく頑張ったね。天国でゆっくり休んでね。つるちゃんのご冥福を心よりお祈り致します。
うめねこ (土曜日, 04 6月 2022 11:16)
ぴこ様
コメントありがとうございました。
口腔内の扁平上皮癌。しかも手術ができない部位となるととても辛いですね。
お気持ちよくわかります。
こむぎちゃんは、ご飯を食べていますか?
そうであれば、まだ生きる意志があると思います。
こうやってコメントでご自分の気持ちを話されると少し楽になりませんか?
同じ病気で闘っているご家族や、看取った経験者などからたくさん話を聞き、獣医師と納得のいくまで相談し、何度も何度もご主人と意見を交わし、こむぎちゃんの病状を観察し、寄り添い、その上で出た結論がきっとこむぎちゃんにとって最善の選択になるのではないでしょうか。
安楽死を選択するのは、人間が辛くなった時ではなく、動物がこれ以上苦しみに耐えられないと判断した時でありたいです。
また苦しくなったら、いつでも書き込みに来て下さい。
ぴこ様の心が少しでも楽になることを願っています。
yoshi (水曜日, 08 6月 2022 15:04)
つるちゃんに会いたかったですよ!つるちゃん❣痛みのない世界でこれからは穏やかに暮らしてください