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浪江の子「ちび」 その2

 

 我が家に来たちびは、人懐っこく甘え上手で、保護当時とはまるっきり違う完全なる家猫になっていました。いつでも抱っこさせてくれる心の広い一面がありましたが、去勢が遅かった為か、オスどうしの縄張り争いのように、我が家のオス猫とも何度となく喧嘩していました。

仲良くなる猫とはとことん遊んでいたので、おそらく我が家の猫の中では一番やんちゃな子だったと思います。

ちびの日課は、トイレ掃除を横で監視することと、気が済むまでずっと外を眺めることでした。 

浪江では出入り自由だったちび。緑の中で、浪江を感じているでしょうか。



やんちゃで、誰かが遊んでいると必ず顔を突っ込みます(笑)


 

 

そんなちびも、我が家に来て10年の月日が流れ、白髪が混じったシニアになりました。

老猫ホーム「うめねこ」の竣工時には、写真のモデルになってもらったちび。

その頃は、元気でやんちゃで、まだまだ長生きするものだと思っていました。

 

竣工から半年も経たないある日、急にちびの元気が無くなりました。

病院に連れて行った際、はじめてちびの片方の腎臓が先天的に委縮していてほとんど機能していないことを知りました。もう片方の腎臓に負荷がかかっていて、血液検査の数値はすでに振り切ってしまうぐらい悪いものでした。

あまりの急な出来事に驚くのと同時に、もっと早くにエコー検査をしておけば良かったととても後悔しました。

ちびはすぐ入院して、造血剤と点滴で腎臓の数値が正常値になるまで治療をしました。

数値が改善されたので退院し、自宅で点滴と投薬治療が始まりました。

腎臓病は治癒することはありません。少しでも現状を維持して命を長びかせることしかできないのです。

自宅での点滴は、その適切な量を判断するのがとても難しいです。与えすぎれば腹水が溜まってしまうし、少なければ脱水になる。一番確実な方法は、ちびが口から摂取した水の量とおしっこの量を計って、出た分だけ点滴を入れる方法です。しかし、我が家のような多頭飼いの家ではちびに隔離生活をしてもらう以外で正確に計ることは不可能です。

隔離生活はちびにストレスを与えることになるので、いつもの生活のままで点滴の量を毎回考えながらうちました。

しかし、今度は免疫力の低下から歯周病になってしまい、また腎臓の数値が悪化します。二度目の入院でも数値はあまり改善されず、面会に来る私達に鳴いて甘える姿を見て、先生と相談して早々に退院させました。

 

自宅で点滴をするちび。


 

 

腎臓病の猫で、食欲があまり落ちない猫は意外と長生きすると聞いたことがありますが、ちびの場合は歯周病の影響もあり食事量がどんどん減っていきました。

点滴と投薬、抗生剤注射と痛み止めとサプリメント。ちびの負担を減らす為に造血剤はやめました。

ちびが少しでも楽になればと、お灸やつぼマッサージなど東洋医学も取り入れてみました。

 

どうにか起き上がって、ゆっくりご飯を食べるちび。


お灸をしているちび。

ちびは歯周病とも闘っていて、この頃は歯周病の痛みをとる為に、腎臓に極力影響のない痛み止めと抗生剤を投与していました。

辛い思いをさせてごめん。ちび。