8年という月日が経って、うめは老猫になりました。
老猫になると、眠りが深くなります。
元々猫はちょっとした物音で起きたりしますが、老猫は熟睡します。腎臓が弱ってきているうめは尿意をよくもよおすのか、熟睡中によくおしっこを漏らすようになりました。量が多い時もあれば、ごく微量なこともあります。
寝る時は必ず私のベッドで寝ていたので、粗相も必ず私のベッドの上。それもほんとにあちこちでするので、毎朝起きると粗相した布団やシーツ、カバーを洗濯するのが日課となりました。見兼ねた主人が防水のシートを買ってくれたので、おしっこまみれ生活はどうにか凌げましたが、うめの粗相は約半年以上続きました。オムツも考えましたが、起きている時はトイレで用を足せるので、やめました。
粗相はいつの間にかしなくなりましたが、腎臓は良くなったり悪くなったり一進一退です。
口内炎と違って、一度悪くなると治癒はしないので、薬や点滴をしていてもゆっくりと進行していきます。それでも、うめのように食欲がある猫は、ある程度症状も安定していました。
しかし、老化は進んでいきました。
手が湾曲してきて、どこかの関節が痛いのか高い所もジャンプできなくなり、歩くとフラフラと何度も転びます。段差が苦になり、スロープじゃないと昇り降りできなくなりました。それでもやっとこさ自力でご飯を食べトイレに行きます。
体が痛いだろうに、体調悪くて食欲がないだろうに、それでも自分に与えられたを生を淡々と全うします。
うめは、ほとんど丸一日を寝て過ごすようになりました。
老化と腎臓病。
脱水の為に、自宅で点滴、高くなった血圧を抑える薬、腎臓病の薬。
人間は、猫に負担がかからない範囲でできる限りのことをやって寄り添うしかできません。
うめはいつも以上に私にベッタリになり、私の頭を囲むように枕の上で一緒に寝ました。
うめの最期は、急に訪れました。
亡くなる1週間ぐらい前から急激に衰え、食べ物も食べなくなり、動けなくなり、私たちに看取られながら亡くなりました。口が痛くなることは二度と無かったですが、最後に嘔吐して呼吸が荒くなり少し苦しみました。傍にいて看取ることしかできないのは辛かったけれど、うめの命とちゃんと向き合えたのかなと今では思っています。
動物医療は進歩しているので、きっと今では口内炎のお薬も治療法ももっと選択肢が増えていると思います。
うめが行った治療法が、必ずしも他の猫に当てはまるかはわかりません。
うめと私は諦めなかったから、治癒したのかもしれません。治癒した先には、たくさんの幸せがありましたが、たくさんの時間とお金も必要でした。
場合によっては諦めなければならない、そういう選択をせざるを得ない場合もきっとあるのだと思います。
どれが正しいとか間違っているということではないです。
決断がどうであれ、最後までその子の命と向き合うということが、一番大切なんだと思います。
うめが亡くなってから、私は心にぽっかりと穴が空き、その寂しさに何度も涙しました。
難治性口内炎を治した時から、うめを私が支えているとずっと思っていましたが、亡くなってはじめて、私がうめに支えられていたことに気が付きました。
うめに出会えたことは、私にとって宝です。生涯忘れることはありません。
きっと虹の橋で待っていてくれることでしょう。
また会えるのを楽しみにしています。
<おしまい>
腎臓病と老いでヨボヨボしているうめ。
最後の最後はオムツでした。
大きな赤ちゃんになったうめの可愛さは格別です。
よく生きたよね。うめ。
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