【その4】
保護して3年目に入って、みこちゃんの老化はどんどん進みました。
認知症の症状の一つだそうですが、夜中に遠吠えのように鳴くようになりました。
血圧もかなり高く、抑える薬を飲むことになりました。
脱水が更に酷くなり、定期的に自宅で点滴を始めました。この頃のみこちゃんの背中はほんとに皮だけだったので、針が貫通しないように苦労したのをよく覚えています。
肉球はカサカサで歩く時踏ん張れない為、ペット用肉球ローションを塗ってしっとりさせました。
健康な便をしていたのに便秘気味になり、フードも可溶性ドライに変更しました。
眠りが深くなり、寝たままおしっこをしてしまうので、ベッドやシーツを変えて、体を温かいタオルで拭いてあげることが日課になりました。
そのうち尿の回数が多過ぎて風邪をひかれるのも心配なので、オムツをすることにしました。
されるがままのみこちゃんは、まるで産まれて間もない子猫のように無抵抗であどけなく、抱き上げると気持ちよさそうに温かいタオルにくるまってこちらをジッと見ています。
可愛くて可愛くて仕方ないので、いつもみこちゃんに話しかけながらお世話をしていました。
抱き上げて「みこ!」と名前を呼ぶと、必ず手のひらを使って私の指を「ギュッ」と握ってくれるのです。毎日、帰宅してみこちゃんのお世話することがとても楽しみでした。
やがて、立ち上がることもできなくなり、唯一の楽しみだったであろう食事を自力で取れなくなり、ついに強制給餌を始めることにしました。
便が自力で出せなくなったので、病院からレクチャーしてもらい「摘便」をすることになりました。
何度も言いますがみこちゃんはとても大人しくていい子で、私の指は幸運にも細く短めだったので、排泄を促されるまましてくれました。
無事に排泄されると私もホッとしたし、その後、みこちゃんはよく食べました。
呼吸は日に日に間隔がゆっくりになり、いつ状態が急変してもおかしくなく、覚悟だけはしておきました。
強制給餌は無理矢理口にフードを詰め込むわけではなく、少しあげて飲み込むようだったら「食べたいんだな」ってあげていました。
そんなある日。
朝いつものように抱き上げて「みこちゃん!」って呼んだら、握ってくれた肉球の力がいつもより弱かった日。シリンジを口に入れようとしたのに、固く口を閉じて開けなかったみこちゃん。
もしかしたら、『これが最後かな』そう思いました。
なでてさすって、話しかけて、そっとベッドに戻して仕事に行きました。交代で帰宅した主人から、1時間ぐらいして連絡があり「徐々に呼吸がゆっくりになって止まったよ」と。
一番気にしていたことは「苦しまないで逝った」ということでした。
たった三年間だけでしたが、みこちゃんを介護している時間は何もかも忘れてしまう楽しい時間でした。
こんな可愛い老猫に出会えて良かったと、たくさんのことを教えてくれたみこちゃんに、今でもとても感謝しています。
<おわり>
神社を散歩している夢でも見ているのでしょうか?とても可愛いです。
みこちゃんの最期の時です。
安らかに。。。
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